◆乾燥した原産地の環境を再現。 “果実” のように “甘い” トマト「高糖度トマト」

 大玉とミニトマトの2種類しかなかったトマト。しかし、最近脚光を浴びているのが、6〜7年前に登場した中玉サイズのトマトです。直径5pほどの小ぶりな実には、トマトのおいしさがギュッと詰まっており、特にその甘さは驚くほど。高いものになると、糖度が13〜14度にもなるというこのトマトは、高糖度トマトと呼ばれ、果物感覚で食卓で親しまれるようになっています。

 この高糖度トマト、そういう品種のトマトがあるわけではありません。普通の大玉サイズの品種のトマトを、特殊な栽培によって玉を小さくし、高糖度に仕上げるのです。トマトの木を常に生かさず殺さずの状態に保ってストレスを与え、それにより生育はさせるけど玉を大きくさせずに内容を充実させるというのが、その方法です。水や養分を制限して、木をぎりぎりの状態に追い込むということは、極端に乾燥した原産地の環境を再現するということ。そうすると、水分をたくさん吸ったいわゆる水ぶくれトマトにはならず、おいしさが凝縮した、果実のように甘いトマトができるのです。静岡県でも、このトマトの生産に取り組む農家が増えています。「桃太郎ヨーク」という品種を使っているあるハウスでは、8月に苗をハウスに並ぶ小さな鉢にに植え、9月の終わり頃に収穫を迎えます。

 検査基準により、8度以上のトマトが高糖度トマトとして出荷されます。収穫は寒い冬場がピーク。寒くなればなるほどトマトの糖度は上がり、うまくいけばメロン以上の甘さの、それはそれはおいしいトマトができます。これがトマト?と思うような、今までにないトマトをつくりたい。そんな夢が、トマトづくりの情熱を支えているのです。